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永岡 美佳; 横山 裕也; 藤田 博喜; 中野 政尚; 渡辺 均; 住谷 秀一
KEK Proceedings 2014-7, p.194 - 200, 2014/11
東京電力福島第一原子力発電所事故によって放出された放射性物質の海洋環境への影響は、国,地方自治体等によるモニタリングにおいて調査されている。原子力機構においても、福島県沿岸における海洋モニタリングに協力するとともに、茨城県沿岸において、海底土, 海水, 海産生物等の試料中に含まれる放射能調査を行っている。これらの調査において、茨城県沿岸の海洋試料でも原発事故の影響が確認されている。このため、原発事故による海洋への影響を詳細に把握することを目的に、茨城県沿岸で51地点の海底土を独自に採取し、それらに含まれる放射性核種(Cs, Cs, Sr, Pu同位体)濃度を調査した。2012年におけるCsの濃度範囲は6.1300Bq/kg・dry、2013年は、3.693Bq/kg・dryであり、一年前に比べて減少傾向にあった。また、2012年に採取した試料のうちCs濃度の高い5地点におけるSr及びPu分析を行ったところ、Sr濃度は0.130.26Bq/kg・dryであり原発事故の影響が認められたが、Pu濃度は、原発事故の影響は認められなかった。
西村 周作; 小嵐 淳; 安藤 麻里子
no journal, ,
福島第一原子力発電所事故で大気中に拡散したCs-137は、土壌中の粘土鉱物に強く固定されることが知られている。しかし、自然環境下において粘土鉱物の大半は有機物と結合して様々な団粒を形成し、森林土壌の発達した団粒構造は土壌中のCs-137の移動性に影響を与えていることが報告されている。したがって、土壌中でのCs-137の循環等を正確に予測する上で、団粒形成を考慮したCs-137の存在形態について明らかにする必要がある。本研究では、土壌を団粒サイズに分画する手法を提示し、各画分におけるCs-137分布について測定を行った。福島市郊外で採取し、粒度分析法で分析した森林土壌を用いた。土壌団粒を団粒分画法にて分画した後、団粒別画分のCs-137を測定した。団粒分画法の重量分布は、212m以上の画分で粒径分析法に比べて高い値を示した。土壌の団粒別画分のCs-137放射能の分布は、20212mの画分において最も高い割合を示した。以上の結果から、本研究で用いた分画手法を用いることで団粒構造を保持した状態でのCs-137の分布測定が可能となり、Cs-137が比較的大きな団粒サイズ(20212m)に存在していることが明らかとなった。
宮本 ユタカ; 安田 健一郎; 間柄 正明
no journal, ,
これまでに一本の陰イオン交換カラムでナノグラム以下の元素を逐次的に自動で分離する技術を開発してきた。この逐次分離法を発展させて極微量のプルトニウムの逐次分離も可能にする極微量多元素同時分離法を検討した。酢酸を主とした酸混合溶媒によるこの逐次分離法ではPuはカラムに保持され続け、最後のUの溶離分画で全量を溶出することがわかった。
浅井 雅人
no journal, ,
福島第一原子力発電所事故で放出された放射性核種の環境中での移行挙動メカニズムを解明するため、地下測定や宇宙線逆同時計数法を駆使した超低バックグラウンド線測定システムを原子力機構において開発・整備しており、その概要について報告する。
谷口 圭輔*; 吉村 和也; Smith, H.*; Blake, W.*; 山本 政儀*; 横山 明彦*; 高橋 嘉夫*; 坂口 綾*; 恩田 裕一*
no journal, ,
福島第一原子力発電所事故によって放出された放射性セシウムの河川を介した以降を調べるため、阿武隈川およびその支流、浜通りの二級河川に計30の観測地点を設置し、河川を介した放射性セシウムの移行の状況を継続的にモニタリングした。懸濁態、および溶存態放射性セシウム濃度は、阿武隈水系よりも浜通りの2級河川の方が高い値を示した。この違いの原因は、浜通り側の二級河川の方が、流域の放射性セシウム沈着量が多いためであると考えられる。実際、浮遊砂中のCs-137濃度と、第3次航空機モニタリング調査による流域の平均Cs-137沈着量の間に良好な正の相関関係が見ており、本調査結果と符合する。一方、河川を介した放射性セシウムのフラックスは、流量を反映して阿武隈川で浜通り側の二級河川より顕著に大きかった。